- 更新日 2025.03.01
- カテゴリー 動画の作り方
動画制作の著作権とは?注意点や肖像権との違いも解説【2025年最新版】
・オリジナルで制作したはずなのに、公開範囲が限定されていた
・動画を永続的に利用できず、公開中止に追い込まれてしまった
上記のような動画制作の著作権に関連するトラブルは少なくありません。また、意図せず動画に映り込んでしまった人物・建物の肖像権が問題になるケースもあります。
最悪、損害賠償などに発展しかねない動画制作のリスクを回避するには、著作権・肖像権をしっかり理解しておくことが重要です。
・動画制作における著作権とはなにか?
・肖像権とはなにか?著作権との違いは?
・動画制作時に注意すべき他者の権利とは?
本記事ではプロモーション・マーケティングに動画を活用しようと考える担当者の方がトラブルに巻き込まれないよう、動画制作における著作権・肖像権の基礎知識を解説します。
※動画制作を依頼したいが選び方がわからない!という方は動画幹事にご相談ください。
あなたの要件を丁寧にヒアリングし、最適な制作会社をご紹介します。
動画制作において注意すべき著作権と肖像権
動画では、意図しないまま著作権・肖像権に抵触してしまう可能性があります。動画制作時に注意しておくべき各種権利について簡単に解説しておきます。
動画の著作権
動画制作における著作権とは「著作者が、自己の著作物の複製・翻訳・放送・上演などを独占する権利」のことです。
・動画の公開媒体を限定する権利(SNSの投稿は不可など)
・動画の公開期間を限定する権利(1年間しか公開してはいけないなど)
上記のような権利が著作権に該当します。動画制作会社が著作権を保有しているケースでは、契約で定められたメディアでしか動画を公開できない場合もあるでしょう。
企画から撮影・編集まで動画制作を自社内で完結していれば、制作した動画の著作権は法人名義にできます。しかし、一部でも作業をアウトソーシングしていれば法人著作は認められません。
この場合、著作権がだれに帰属するのかによって、制作した動画の利用方法に制限が生じる可能性があります。
動画内の素材の著作権
上のような動画のイラストやBGMの著作権に注意してください。
動画には音声・音楽が付き物です。アニメーションやCG、画像・写真・ナレーションなど、動画をより効果的に見せるための素材を利用することも多いでしょう。
動画内で使われるBGMを含めた素材は、すべて著作権で保護されている可能性があります。既存の素材だけでなく、動画用に新たにオリジナルで制作された素材であってもそれは同様です。
BGMやアニメーション動画のキャラクターなど、無断でSNSや展示会のイベントなどで使用すると著作権に触れる可能性があります。動画内のすべての素材に関して、著作者がだれなのか?著作権を侵害していないか?を確認するべきです。
また、近年では、音楽・画像素材などを有償・無償で提供するサイトも存在しますが、ロイヤリティフリーを謳っていても、「商業利用は別途追加料金が必要」というケースもあります。素材サイトを利用する際には、利用規約を熟読しておく必要もあります。
肖像権
動画制作における肖像権は、大きく人格権(プライバシー権)と財産権(パブリシティ権)の2つに分かれます。
人格権に抵触する場合
上の動画の場合は、街の通行人の撮影に注意!
人格権は、私生活の情報も含め、個人の顔・容姿を許可なく他人に撮影・描写・公表・利用されないための権利のこと。
例えば、繁華街などで撮影した通行人で、明確に個人が特定できる映像をSNSなどで公開すれば、人格権(プライバシー権)の侵害に当たる可能性があります。ただし、個人を特定できない場合は人格権の侵害にならない可能性が高いです。
財産権に抵触する場合
もう一つの財産権(パブリシティ権)は、タレントや芸能人など、顧客を商品などに引きつける「吸引力や訴求力」を持つ個人が、自身の経済的価値・利益を守るための権利のこと。
具体的には芸能人、著名人などの写真をマーケティング目的で広告に利用すると、財産権を侵害する可能性が高くなります。
動画制作の肖像権で注意すべき事例
上の動画の場合、自社の社員にも肖像権があるので注意してください。
従業員インタビューの動画では、自社の従業員にも肖像権があり、肖像権の存在をキチンと説明し、本人の許可を得たうえで動画制作する必要があります。
動画に出演した従業員が退職したケースも想定し、「退職後も一定期間利用できる」ことを了承してもらうと、撮り直しのコストも削減できるでしょう。
また、ロケーションで街並みなどを撮影する際は、建物や看板などの映り込みにも注意が必要です。本来、人の権利である肖像権は建物や看板に適用されませんが、オーナーが肖像権の侵害を訴えてくるケースがあるからです。
特にランドマークとして知られる建物には注意すべきです。敷地外から景観のひとつとして建物を撮影するのは問題ないですが、法的に撮影許諾が必要な建物も存在します。事前の確認が重要です。
肖像権と著作権の違い
権利者の利益を守る財産権、権利者自身の人格・名誉を守る人格権があるという点では、肖像権も著作権も変わりありません。ただし、肖像権が全国民に等しく与えられた権利であるのに対し、著作権は著作物を創造した著作者本人のみの権利です。
また、著作権が法律で保護される一方、肖像権はあくまでも憲法で定められた権利であって法律ではありません。肖像権に抵触するラインが曖昧に感じられるのは、過去に行われた民事裁判の判例をもとに抵触ラインを判断するしかないからです。刑事責任が問われる可能性のある著作権とはこの点が大きく異なるといっていいでしょう。
動画を制作会社に依頼するときの著作権・肖像権の注意点
ここまで、動画制作時に最低限注意しておきたい権利関係について解説してきました。実際の動画制作は外部の制作会社に任せたいと考えている企業がほとんどだと思われます。
しかし、動画制作を外部に委託したからといって、権利関係のチェックが簡単になるわけではありません。むしろ、動画制作をアウトソーシングするからこそ、注意しておきたい著作権・肖像権が存在します。
著作権は制作会社に帰属することが多い
制作会社は、クライアントの依頼に応じて動画を制作するのが仕事ですが、動画の著作権は、制作会社に帰属することがほとんどです。動画制作に携わったディレクター・プロデューサーを著作者とするケースが多いでしょう。著作者には上演権・演奏権・公衆送信権・展示権をはじめ、著作物の公開を許可する権利があることを忘れてはなりません。
動画の2次利用についても注意
当初は、動画の公開をコーポレートサイトに限定していた会社でも、より幅広いメディアやイベントで動画を公開したいといったニーズが出てくるもの。しかし、著作権が制作会社に帰属することが多い動画の場合は、クライアントといえども自由に2次利用するのは困難なのが実情です。
多くの場合、制作する動画の利用方法、公開できるメディアなどが業務委託契約書に明記されるため、契約内容を注意深く確認する必要があります。一部の制作会社では著作権譲渡に応じてくれる場合もあるため、相談してみるのもひとつの方法です。
タレント・モデルを起用する場合は注意
一般人の写り込みはプライバシー権を気にすればいいですが、タレントはプラスアルファで財産権(パブリシティ権)に注意が必要です。
ドラマ形式の動画を制作したい、商品・サービスのイメージを大切にしたいなどのニーズがあれば、自社従業員ではなく、タレント・モデルを起用して動画制作するケースもあるでしょう。この場合、肖像権とセットで注意しなければならないのが「パブリシティ権」。
タレント・モデルのほとんどは、パブリシティ権を含む肖像権の管理を、所属する事務所に一任しているからです。動画にタレント・モデルを起用する際は、モデル事務所との使用許諾交渉・契約が欠かせず、これを制作会社が担当するのか、自社で管理するのかもハッキリさせておく必要があります。
また、動画にタレント・モデルを起用した場合は、使用可能期間が1〜2年程度に限定されるケースがほとんどです。これは個人の人格に由来する肖像権の性質によるものであり、使用期限を撤廃する「買取」契約に応じてもらうのは困難です。タレント・モデルの使用可能期間が、動画を活用できる上限期間だと考えておくといいでしょう。
業務委託契約書の条項を修正したい時のポイント
動画制作をアウトソーシングする際は、制作会社と業務委託契約を締結します。本来、業務委託契約は発注側・受注側が対等の立場でWin-Winの関係性を築くのが基本ですが、自社に不利な条項が存在することも考えられます。
知らずに著作権・肖像権に抵触してしまった、制作した動画が2次利用できなかったといった事態にならないよう、契約条項の修正に向けて交渉が必要になるケースもあるでしょう。その際のポイントを簡単に解説しておきます。
意味を変更する
動画制作を依頼したとき、すべての工程を制作会社が行うとは限りません。例えば、ナレーションだけ外部の会社やフリーランスに依頼するなどのケースもあります。その際、実力のわからない第三者が動画制作に関与することによって、品質が損なわれる、納期が遅延するなどのトラブルが生じる可能性があります。
このような場合に契約書の「乙(制作会社)は業務のすべて又は一部について第三者に委託できる」を「乙(制作会社)は業務のすべて又は一部について第三者に委託できない」に変更するなどが考えられます。
信頼して任せるのだから絶対に自社制作して欲しい、といった譲れないポイントを主張したいときに交渉するといいでしょう。
要件を変更する
契約条項に制限を加え、要件を変更してしまう修正案です。上述した「第三者に委託できない」という契約条項は、簡単に制作会社が承諾できるものではありません。そこで「第三者に委託できる」の前に「甲(発注者)の承諾を得た場合に限り」という制限を加えます。これであれば、発注者・受注者双方が納得しやすくなります。
譲歩案を作る
契約条項に譲歩を盛り込んで、受注者に納得してもらう修正案です。「動画の2次使用は不可」という契約を締結してしまえば、当初の目的以外に動画を利用することはできません。
動画を幅広く活用できる可能性を持たせるためにも「2次利用の際は別途料金を支払う」「目的以外の動画利用については別途協議にて決定する」などの譲歩案を提案しておくといいでしょう。
著作権・肖像権が複雑に絡んでくる動画では、制作に関連するトラブルを回避するためにも業務委託契約書のチェックが重要です。以下の記事も参考にし、スムーズに契約締結を進めてください。
参考コラム:著作権とは?
画像:文化庁の図をもとに動画幹事にて作成
ここまで動画制作において注意すべき権利を解説しました。中には、著作権に関してさらに詳しく理解しておき、今後の参考にしたい方もいるでしょう。そこで最後に、動画制作にとどまらず、著作権そのものについて解説します。
著作権とは、そもそも知的な創作活動によってなにかを創り出した人に与えられる「知的財産権(他人に無断で利用されない権利)」のひとつ。
知的財産権には、特許、意匠、商標などの「産業財産権」も含まれますが、文化の発展を目的とした著作権は「無方式主義」という、ほかとは異なる性質を持つのが特徴です。
特許などのように申請・出願といった手続きを必要とせず、著作物が創られた時点で自動的に「著作権」が与えられ、原則、著作者の死後70年まで「著作権法」によって保護されます。
著作権の侵害は、イコール著作権法違反という犯罪でもあるため、損害賠償を含む民事訴訟リスクがあるほか、刑事罰を受ける可能性もあります。刑事責任が問われるのは故意性(知っていながら著作権を侵害する)が認められた場合に限りますが、最大10年の懲役、最大1,000万円の罰金のいずれか、または双方と、罰則が重く設定されていることが特徴です。
著作権を含む知的財産権は、時代の変化とともに対象が拡大する傾向にあるため、扱いには細心の注意が必要です。
著作物とは?
それでは保護の対象となる著作物とはなんでしょう?著作権法では以下のように定義されています。
・思想または感情を創作的に表現したもの
・文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの
具体的な著作物の例としては、小説、音楽、美術、映画、コンピュータープログラムなどが挙げられており、新聞、雑誌、百科事典などの編集物も「編集著作物」として保護されます。
著作物の対象とならないのは、単なるデータ、アイデアなどであり、模倣物や工業製品も著作物から除外されます。
著作者とは?
著作者とは「著作物を創った人」です。著作権法で保護の対象になるのが「著作物」である一方、著作権の帰属先は「著作者」であるという関係性があり、動画のようにチームで制作された著作物であれば、ディレクター・プロデューサーなどが著作者とされるケースが多いようです。
また、著作権は著作者個人に与えられるのが基本ですが、一定の要件を満たした場合に限り、創作した個人が属する会社に「法人著作」が認められます。
たとえば、従業員を著作者とする定めのない会社が、自社業務としてプロモーション動画を制作すれば、その動画の著作権は法人に帰属します。
著作者の権利とは?
画像:JASRAC(リンク切れ)
著作者には、著作物の利益を守る著作権(財産権)に加え、著作者本人の人格・名誉を保護する「著作者人格権」も与えられます。また、著作権には演奏家、放送事業者など、著作物を万人に伝えるための人に与えられる「著作隣接権」があるのも特徴。
著作物の利用方法ごとに著作者の権利が細かく定められている著作権は、権利の束だといわれることもあります。
動画制作で注意すべき著作権・肖像権まとめ
本記事では、トラブルに巻き込まれないための著作権・肖像権の基礎知識から、動画制作会社と契約する際のポイントまでを網羅的に解説してきました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
◎著作権とは?
・知的な創作活動によってなにかを創り出した人に与えられる権利
・著作者の権利は著作権(財産権)と著作者人格権
・著作権は権利の束といわれる法律
◎肖像権とは?
・個人の顔・容姿を許可なく他人に撮影・描写・公表・利用されないための権利
・肖像権はプライバシー権とパブリシティ権
・肖像権は法律ではない
◎動画制作時に注意するべき権利
・動画自体の著作権
・動画内の音楽・画像などの著作権、登場人物の肖像権
◎動画を制作会社に依頼した時の著作権・肖像権
・著作権は制作会社に帰属する場合がほとんど
・契約内容によっては動画の2次利用が制限される
・タレント・モデルとは別途契約が必要、使用期間に制限がある
コンプライアンスが重視される現代だからこそ、動画制作でも著作権・肖像権の取り扱いが重要。無用なトラブルを避け、制作した動画を最大限活用するためにも著作権・肖像権の知識は必要ですが、信頼のおけるパートナーとしての制作会社選びも重要です。どんな会社に依頼したらいいのか迷っている方は、ぜひ動画幹事にご相談ください。
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この記事を書いた人

梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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