動画制作の業務委託契約書の見方と注意点を解説【2024年最新版】

動画制作の見積もりや提案書を確認し、発注が決まったあとに送られてくる業務委託契約書。文言が難しく、聞き慣れない法律用語もあるため内容を理解しづらい書類です。

そのため契約書を詳しくチェックしないでスルーし、後々トラブルに発展するというケースは少なくありません。たとえ信頼している制作会社であっても注意が必要です。

そこで本記事では契約書を初めて目にする方に向けて以下の3つを解説します。

  • 動画制作ならでの契約書のトラブル
  • 契約書の項目で特に注意すべき点
  • 契約書の修正を依頼したいときの交渉術

動画制作のプロにヒアリングした上で、重要なポイントをギュッと凝縮しています。不明確な条項をなくし、円満な取引でスムーズに制作を進行させましょう。

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目次
  1. 1. 動画制作の契約書に伴うリスク・トラブル
    1. 1-1. 知らない間に著作権・使用権に抵触していた
    2. 1-2. 永続的に使えると思っていた動画が使えなかった
    3. 1-3. 動画の修正ができなかった
  2. 2. 動画制作の業務委託契約書で注意すべき6ポイント
    1. 2-1. 納期
    2. 2-2. 納品形式
    3. 2-3. 再委託
    4. 2-4. 秘密保持
    5. 2-5. 原版の保管
    6. 2-6. 損害賠償
  3. 3. 業務委託契約書の条項を修正したいときのポイント
    1. 3-1. 制限を設ける
    2. 3-2. 譲歩してもらう部分を設ける
  4. 4. 業務委託契約書のサンプル
  5. 5. 【まとめ】業務委託契約書を理解してスムーズな制作を
    1. 5-1. 動画制作をプロに依頼したいという方へ

動画制作の契約書に伴うリスク・トラブル

動画制作の契約書に伴うリスク・トラブル

まずは動画制作の契約で、特に起こりやすい3つのトラブルから解説します。あとから揉めることのないよう、重要性を理解しておきましょう。

知らない間に著作権・使用権に抵触していた

まずは知らない間に著作権・使用権に抵触してしまうトラブルです。

著作権とは「著作者が、自己の著作物の複製・翻訳・放送・上演などを独占する権利」。動画内で使う写真やBGM、イラストなどが該当します。

映像の著作権(肖像権)・使用権(使用条件・使用可能範囲)に関する契約は、動画制作の契約書の中でも多く盛り込まれている項目。動画(成果物)はお金を出して購入した発注者が自由に使えるものと思われがちですが、法律ではクリエイター側に帰属する部分が多くなっています。

著作権(使用権)に関するトラブルで多いのは、当初予定していた用途と違う形で使用する二次利用(目的外の利用)の場合。例えば、公式サイトに掲載するだけの予定だったが、LPページや説明会、イベントでも使用したなど

契約書によっては「Twitterしか使えない。FacebookやInstagramはNG」などの細かい規定もあります。同じSNSだからと思っても使用できないケースがありますので使用範囲の項目は必ず確認しておいてください。合意の範囲外の使用については別途追加料金が発生することが多いので、あとから揉めないよう契約書でハッキリさせておきましょう。

二次利用を考えている場合は、以下の項目を確認しておいてください。

  • そもそも二次利用は可能か?
  • いつまで二次利用が可能か?
  • どの媒体での二次利用なら大丈夫か
  • 二次使用をする際はいつまでに制作会社に許諾を取るのか
  • 二次利用する場合の追加料金はいくらか

関連記事:動画制作の著作権とは?注意点や肖像権との違いも解説!

アニメ動画におけるイラストの著作権・使用権

アニメ動画におけるイラストの契約にも注意が必要です。映像をそのまま切り抜いて、Webサイトに使う場合はOKでも、他の動画に使う・色を変更することはNGなど、細かい規定であとから揉めるケースもあります。オフィシャルキャラに使用するケースもイラストレーターと起きやすいトラブル。また、グッズ化したい場合もイラストレーターに追加料金を払うことがあります。これらは事前に確認しおいてください。

競合排除したい場合の契約

実写撮影の役者やモデル、アニメ動画のイラストレーターの競合排除についても確認しておきましょう。競合排除とは、「契約期間中は発注者とライバル関係にある他社の仕事をしない」という契約のこと。

競合に同じタレントをアサインされないようにしたい場合は、キャストの競合排除を契約書に記載する必要があります。ただし料金も上がりますので、予算なども考慮して依頼しましょう。

また、タレントの使用期間の管理は誰が持つのか、制作会社(ディレクター)なのか、発注側なのかで揉めることもありますので決めておきましょう。代理店が間に入る場合は、代理店が管理することになります。

永続的に使えると思っていた動画が使えなかった

動画を配信できる期間があることを知らず、使えなくなってから慌てるケースもあります。これも著作権・使用権に関するトラブルです。例えば撮影でタレント・モデル等を起用した場合は、出演条件として映像の使用期間が限定されるケースがほとんど

買い切り契約であれば永久的に使えますが、映像を利用できる期間や条件について言及されている場合が多いので注意してください。もしくは記載がなければ確認しましょう。

一般的に動画の使用期限は1〜2年で考えるといいでしょう。映像の権利が発注者側に帰属されていたとしても、使用期間や範囲に制限が設けられている場合は使用権・著作権の侵害に当たるケースもあります。

  • 映像は買い切りなのか使用期限があるのか
  • 使用期限がある場合はいつまでなのか
  • キャストの契約期間は発注者と制作会社のどちらが管理するのか

社員を起用する場合も注意 ちなみに自社で用意した社員や知人を使う場合でも、「退職するから使わないでほしい」「転職先の決まりで出演した動画を使われては困る」など、あとから揉めるケースもあります。キャストを使う場合「映像がいつまで使えるのか?」もはっきりさせておきましょう。

動画の修正ができなかった

3つ目は動画の修正や検収(動画の内容が発注どおりになっているか検査して受け取ること)に関するトラブル。

動画の修正を依頼できる回数、制作過程のどの部分で映像確認をし、修正依頼をするのかハッキリさせておいてください。再撮影を行う場合はいくらかかるのか?なども確認しておきましょう(基本的に実写の再撮影は不可)。

公開後、古くなった動画内の情報を更新するケースもあると思います。情報のアップデートも考慮し、UIの部分(ユーザーが扱う操作画面)には人を使わないで、そこだけ変えられるようにするなど修正を想定した動画にすることも大切です。

修正の回数やタイミングの契約を決めずに揉めるケースは少なくありません。動画は複雑な工程のもと、担当分野の違う多くの人員が制作に関わっています。部分的に修正できる箇所もありますが、「前の工程から全部やり直さないといけない」といった部分も多いです。

撮影をやり直すには、キャストやスタッフのスケジュールを合わせなければいけません。再収集をかけるのは現実的に厳しいでしょう。アニメ動画においては、イラストをすべて描き終えて編集(アニメーション)の段階になって「目の大きさを変えてほしい」などと言ってもまず不可能です。

動画の完成後もデータなどを最新の情報に更新したいなど、納品後いつまで修正は依頼できるのか?無料なのか有料なのか?など、先々のことまで考えて契約を交わしましょう。

  • 動画を修正を依頼するタイミングはどこか
  • 修正は何回まで依頼可能なのか
  • 修正は有料か無料か
  • 納品後の修正依頼はいつまで可能なのか

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動画制作の業務委託契約書で注意すべき6ポイント

動画制作の業務委託契約書で注意すべき6ポイント

ここからは先述した起きやすいトラブルのほかに、契約書で注意すべき項目を6つ紹介します。実際はもっと簡略した内容になるかもしれませんが、本記事ではリスクを回避するために細かい部分も記載していきます。

納期

まずは、動画の納品日に関して。契約書では以下のような文言が該当します。

  1. 乙(制作会社)は、完成した本映像の複製物を、次に定める期日までに、甲(発注者)の定める場所において納入するものとする。

納入期日:____年__月__日

  1. 乙(制作会社)が完成した本映像を前項の納入期日までに納入できない場合は、速やかに甲(発注者)に連絡し、その対処方法について別途協議するものとする。

動画によっては説明会やイベントで使うなど、納品が遅れると問題が発生する事情もあるでしょう。納品日時はきちんと定めておきましょう。

納品形式

動画の納入方法(映像データのフォーマットや提供方法など)も相違がないか確認しましょう。次のような文言が該当します。

乙(制作会社)が甲(発注者)に納入する、完成した本映像のフォーマットは次のとおりとする。

・MP4       ___分   ___本
・DVD          ___分     ___本
(その他)    ___分    ___本

配信用のデータの他に、自社の記録・保管用としてDVDなどの納入を希望する場合もあると思います。それらも契約書に盛り込まれているか細かく確認してください。

再委託

再委託とは、依頼を受けた企業がさらに別の制作会社やフリーランスに作業の一部や全部を依頼することです。「外注」という言葉を聞いたことがあると思いますが、再委託も外注の一部。契約書には以下のような文言があるでしょう。

乙(制作会社)は本映像の制作の全てまたは一部を第三者に再委託することができるものとする。

再委託することで制作の効率が良くなりクオリティも上がる場合もありますが、再委託を自由に認めると以下のようなリスクが発生する可能性があります。

  1. 想定していたクオリティとの差が大きい
  2. 技術や機密情報、顧客情報などが漏洩する
  3. 業務の進行状況が見えにくく、進行管理が難しくなる

上記のリスクがあるため、知らない間に外部に依頼されることがないよう契約は以下のような内容にしましょう。

  • 再委託は事前に甲(発注者)の承諾を得た場合に限る
  • 再委託先の行為については乙(制作会社)が一切の責任を負う

また、複数社や外部クリエイターが制作に関わる場合、直接依頼する制作会社とは機密情報(次で詳しく説明します)を漏らさない契約を結んでいても、外注先の会社やクラウドソーシング、フリーランスのクリエイターとは秘密保持の契約が結ばれてない場合があります。そのため、再委託に関する契約はしっかりチェックしましょう。

秘密保持

秘密保持は主に、「動画を制作すること」「動画の内容」「発表日」「どんなスタッフが関わっているのか」など、制作会社が機密情報を漏らさないようにしてもらう契約です。契約書には以下のような記載があるでしょう。

乙(制作会社)は本契約の履行に関連する秘密情報について、これを第三者に開示せず本契約の目的以外に使用しないものとする。

どの情報が機密情報に当たるのかを明確にし、発注側が公式に発表するまでは口外して欲しくない情報を明確にしておきましょう。

原版の保管

秘密保持とも関連しますが、映像の原版の保管(オリジナルデータ)に関しても契約書で明確にしておきましょう。これは何年間保管してもらうのかを決めておくものです。契約書には以下のような記載があるでしょう。

乙(制作会社)は、本映像の原版を、原則として、映像納入後〇〇年間、責任を持って保管するものとする。保管期間を経過した後の原版の保管については別途協議により決定する。

原版の保管は置く場所のキャパシティもあるため、期間は制作会社によっても異なります。一般的には3〜5年が多いようですが、制作会社と相談して決めてください。

損害賠償

映像の納品が遅れた場合や、機密情報の漏洩や原版の紛失や破損などがあった場合、制作会社に損害賠償を請求することも考えられます。ただし、損害賠償の請求額について、契約書では以下のように上限が決められていることがあります。

損害賠償額については業務委託料の総額を上限とする。

上の内容で締結した場合、制作費と同じ額が最大で支払われる金額となります。損害が発生した場合、制作費を上限としても問題ないのかは検討が必要です。損害賠償に発展するのはレアケースですが、念には念を押しましょう。

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業務委託契約書の条項を修正したいときのポイント

契約書を確認したあと、制作会社に内容の変更を依頼する場合もあります。しかし、制作会社側も不利になる状況は避けたいため、交渉が難航する場合もあるでしょう。

そこで、この章では当事者間でバランスを取った上で修正を依頼する交渉術を2つ提案します。

制限を設ける

まずは契約に制限を設ける方法。例えば「再委託」の場合、「再委託はできないものとする」と縛りつけてしまうと、外注を考えていた制作会社は難色を示すでしょう。すべて制作会社だけでワンストップで作れるとは限りません。そこで、「事前に甲(発注者)の承諾を得る場合に限り、再委託できるものとする」など制限を設ければ、制作会社もOKを出しやすくなります。

譲歩してもらう部分を設ける

例えば契約書に、「映像の二次利用は不可とする」と書かれていた場合。当初は想定がなくても、あとから「こんなことに動画を利用したい」とアイデアが浮かぶこともあります。

そこで二次利用できないという契約ではなく、「目的以外の方法で使用する場合は事前に乙(制作会社)に連絡し、別途協議により決定するものとする」「二次利用の場合は追加料金を支払う」など、譲歩できる部分がないか交渉してみましょう。

契約書はがんじがらめにすると、発注者も制作会社も互いに建設的な提案がしにくくなります。譲れない部分は守りつつ、互いに円満に制作を進められる方法を模索しましょう。

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業務委託契約書のサンプル

業務委託契約書のサンプル

画像出典:映像文化製作者連盟

最後に映像制作における業務委託契約のサンプルを紹介します。

骨法通法律事務所 小林 利明弁護士の『映像制作業務委託契約のサンプル』(全12項目)、映像文化製作者連盟が公開している『映像製作委託契約書 (条文参考例)』(全19条)の2つが参考になります。

実際の契約文があり、さらに解説も付いているので内容が理解しやすいサンプルです。分かりにくい項目の部分は、再び本記事を参照すると理解しやすいです。実際の契約書をチェックする前のイメージとして活用してみてください。

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【まとめ】業務委託契約書を理解してスムーズな制作を

以上、動画制作における契約書で注意すべき点を解説してきました。難しい文言で内容が理解しづらい契約書ですが、後々のトラブルを避けるため、制作をスムーズに進行するためにも必ずチェックが必要です。

たとえ信頼している映像制作会社であっても契約においては認識の相違があってはいけません。契約書が届いたら、ぜひ本記事のチェックポイントを読みながら書類を確認してみてください。

また、契約書を確認する上で、動画制作のフローを知っておくと項目が理解がしやすくなります。動画ができる流れを解説した以下の記事も参考にしてください。

関連記事プロが解説する動画制作の流れ!スケジュール・進め方まで

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